手術後、帰宅してからさっそく、眼鏡をはずし最初の点眼薬をさしました。実は、電車を降りてから次第に麻酔が切れ、眼の奥にかなりの痛みを感じ始めていたのです。そのため、家に着くまでの道のりは、痛みを抱えた目がまぶたを閉じよう、閉じようとする衝動とのちょっとした戦いでした。ただひたすら、家までの約6分の道のりを、目を細めながら足早に歩いた記憶があります。
家についてからは、もちろん入浴、洗顔はおろか、目の奥の痛みのおかげで何もする気が起きません。目薬をさしたあとは、さっさと寝てしまおうと思いました。さっそく、寝巻きに着替え例の眼帯をとりだしました。その眼帯は、ブリキのような色をした薄いスチール板にたくさんの小さな穴が開いているもので、ちょうど目の全体を覆えるよう、横幅がやく8~9cmある楕円形のものでした。そして、その眼帯のふちにはガーゼで覆いがされており、このガーゼに眼帯を装着するための両面テープをはり、両目にふたをするように貼り付けるといったものでした。その眼帯を装着した姿はまるで、人間ミツバチの顔のようであまりにおかしく、ついついその姿を記念にカメラに収めたほどでした。
目の痛みはかなりありましたが、耐えられないほどではありませんでした。すぐにベッドに横になり、しばらくすると痛みを感じつつも、ちゃんと熟睡していました。翌日、いつもどおり目を覚ました私は、昨晩の目の奥の痛みがきれいさっぱり消えているのに驚きました。そればかりか、そっと硬い眼帯を取り、目を開くと、そこには全く違う世界が飛び込んできたのです。それは、遠い子供の時の記憶にあった裸眼で見る鮮明な色の輝きでした!
目薬をさしたあと、急いで窓の外に目をやりました。メガネに頼らなければ見えなかった遠いビルの看板や景色の細部が目に飛び込んできたのです。その瞬間、久しく味わっていなかった大きな感動を感じました。ちょうどその日は土曜日で、晴れたお天気の日でした。窓の外に見える一本の木が枝に茂った青々とした緑の葉を揺らしながら、お日様の光に輝く姿が手術の成功を感じさせてくれました。
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